階下の自己中娘

　その女は2000年７月１５日に階下に引っ越して来た。挨拶は無かったが、郵便受けに薬用石鹸 「キレイキレイ」が入れてあった。添付のメモには「ご不在のようでしたので・・・」って、 前に郵便受けチェックしてから外出してないんだけど・・・。まぁ、いいか。石鹸は毎日有り 難く使わせて貰っている。１年経ってもまだ無くならない。

　朝７時過ぎ、突然頭の下で「ガラガラ・・ズドン」という轟音が立て続けに鳴り響く。 キレイキレイ女が雨戸を開ける音だ。横田のハエよりうるさい。何より突然の轟音は心臓に 悪い。突然鳴り響く目覚まし時計と同じである。それに７時はまだ熟睡してる時間帯だ。 この時間に下手に起こされると、２時間単位の睡眠サイクルが狂って寝坊する危険がある。 が、そんな毎日が続いた。

　ドンガラ女が来て２週間程度経った頃、たまりかねて雨戸の開け閉めを止めるようメモを 郵便受けに入れた。それからしばらくして、ドンガラの時間は８時過ぎになったが、それ自体 は止まらなかった。朝のドンガラは３枚から２枚に減り、コツを得たのか音は半分程度になっ たが、今も続いている。

　しばらくして、ベランダでの洗濯の時間がたまたまかち合った時に、ドンガラ女のテラスの 前に放置してある朽ち果てかけたポリタンクの話になった。前の住人（学生）が放置して行った ものだ。「水が溜まるとボウフラが湧くから立てて置くな」と注意した。ドンガラ女は「大家に 言ったが片付けてくれない」と弁明する。ちなみに大家は国分寺なので、たまに草むしりに来る 以外は滅多に来ないし、その際に住人を尋ねる事もない。この所は、階段の蛍光燈の交換は私が やっているんで、誰が管理人だか判らん。

　１０月からゴミ収集が鉄の棺桶から有料の戸別収集に変わる。その前にポリタンクを始末した 方がいいなと思い、階下のテラス前へ行くが、ドンガラ女はタイミング良く外出したのか、居留 守を決め込んでいるのか、気配が無い。仕方なく一人でポリタンクを踏み付けて粉砕し、スー パーのポリ袋に詰め込んで不燃ゴミの棺桶へ捨てた。

　１０月に入りゴミ収集が有料袋に入れての戸別収集になったが、間もなくドンガラ女の部屋の 前の狭い空き地に２個のゴミが放置された。２週間経っても片付けられる気配が無いため、警告 ラベルを作ってゴミ袋に貼り付けた。「指導」「注意」で効果は無かったため、最後の「警告」 を貼り付けた。この際、下手人を特定できるものがないかとビニール手袋を付けてゴミの中身を 調べた所、北里大学の同窓会の封筒が出て来た。それ以外の手掛かりは無かった。虫は湧いてる し、もうゴミの臭い事ったら。こういうのはもうやだね。

　「警告」ラベルに「北里のねーちゃん・・」と書いておいたら、数日後にやっと撤去されてい た。誰がどこへ持って行ったかは不明だが、通常のゴミ出し処理された気配は無かった。

　北里のゴミ女は、スクーターに乗っている。駐車場所は通りに面したコンクリートの共用通路 を半分塞ぐような形で置いている。かつて単車持ちの住人は数人いたが、常時この場所に置いた のは始めてだ。普通は奥の空き地まで進めるのだが、はた迷惑だな。ここは自転車で帰って来て すぐまた出かける時に置くんだよ。

　冬場になって、今度は傘が２本、郵便受けの横に放置された。また北里のゴミ女の仕業か・・ と思ったが、あらかたまた前の住人が放置していったものなのだろう。目障りなので、北里の ゴミ女のドアの前近くに移動して立てかけた。それから何を勘違いしたのか、２本の傘と隣の女 が外に立てかけてある１本をまとめて再び郵便ポストの前に移動してあった。隣の女の傘は間も なく本人が回収したようだが、数日後に残りの２本も無くなった。

　2001年に入り、早朝７時のステレオの低音が聞こえるようになり、一度目が覚めると寝付かれ なくなった。そんな日が何日か続いた朝、思わず床にカカト落としを放った。音はすぐに聞こえ なくなった。翌日の晩方に、傘放置女と外でかち合った。２４時過ぎのステレオの音がうるさい と言う。この時、始めて面と向かって長い時間（と言っても２〜３分）話をしたが、顔が幼児連 続虐待死記者会見顔面整形女にそっくりで、自己中の見本やな・・と思った。朝のステレオ （北里のゴミ女本人はラジカセと言っているが）は、やっぱ腹いせか。

　それまで１３年間同じ生活パターンを続け、たまの深夜の大工仕事の騒音はさておき、 ステレオの音がうるさいと苦情を言われた事はなかったのだが、夜間はトーンコントロールを 切る事にした。これで低音は半分以下になるので、だいぶ聞こえる音量が下がるはずだ。 それ以来、朝にステレオの音が聞こえることは無くなった。やっぱあれは腹いせだな。

　2001年７月末、私が自転車を停めているスペースと、北里のゴミ女のドアの間のコンクリート 上に、ソバ混じりのゲロが放置されていた。この場所は私が自転車カバーを丸めてガスメーター の間に挟む時に丁度足を踏み入れる場所である。どういう神経してんだか、全く信じられない。 丁度その頃は良い天気が続いたので、間もなく干からびたが、盆過ぎの雨降りが続いた頃まで 湧いたナメクジと一緒に麺の形は残っていた。

　2001年８月中旬になると、ソバゲロ女がスクーターを止めている場所にベスパのようなダサい デザインの新車のスクーターが止められるようになった。どうやらソバゲロ女の隣の女が買った ようだ。ダサい原チャリ女に駐車スペースを奪われたソバゲロ女は、仕方なく奥の空き地に止め る。更にダサい原チャリ女は、ソバゲロ女よりもセンター寄りに止めるため、ソバゲロ女が奥に 入れるのにも苦労する。普通は後から来た方の邪魔にならないように、先に止めた方が奥入れる のが礼儀だろ。おめえら実は両方とも自己中じゃんかよ。おもしれー。

　さて、次はどんな自己中ぶりが見られるだろうか、乞うご期待。

最後に一言。

　『私はスクーターに乗る女は嫌いだ！』